恒例となっている「医療倫理とヒューマニズム」のレポート発表会(昨年度の様子はこちら)。今年も8/30にレポート賞の表彰式を行いました。今年の受賞者は6名でした。河野学部長より賞の授与が行われ、続けて各受賞者がレポート作品を発表しました。
(受賞作品を簡単に紹介しますと)
最初のパートは、① 災害時における被災者の心のケアについて、不安や疲労を和らげるための「安心感」を第一にあげ、そのために平時からの備えの重要性を説いた作品、② 服薬アドヒアランスを向上させる方策を、行動科学の視点から多角的に捉え、その中で薬剤師の役割を具体的に考察した作品、の二作。これらは、教養科目で学んだ「心理学」「行動科学」を「薬剤師としてどう生かすか」という、受賞者の薬学生としての思考レベルが一段進んだことが伝わってくるものでした。
次のパートは、インターネット販売される医薬品の普及とともに重要性を増している「オンライン服薬指導」についての二作で、どちらもメリットとデメリットをあげながらも、③多様な利用者を想定した賛成派(推奨派)と、④薬の乱用の可能性を重く捉えた反対派(制限派)という、異なる結論に至った作品の競演となりました。
最後のパートは、⑤ 出生前診断について、優生学などの歴史を踏まえてぶれない視点から、NOの結論を丁寧に訴えぬいた作品、⑥ 行政による医薬品の安全性確保の方策について、論文不正による「科学の価値(信頼性)の危機」と、実社会での医薬品をめぐる「法律の未整備や曖昧さ」を明確に指摘した作品、の二作。倫理原則の中でも正義に関わる課題ですが、難しいテーマにもひるまずに取り組んだことがわかる発表でした。
いずれも自分の意見をしっかりと述べている作品で、学生たちにとっては、医療人を目指して共に学ぶ友達の多様な価値観や考え方を知る貴重な機会となりました。審査員をはじめご協力くださった先生方、作品を紹介してくれた受賞者の方々、そしてしっかり学んだ学生の皆さん、本当にありがとうございました。
文責:大橋綾子(科目責任者)