8月30日は、毎年恒例の「医療倫理とヒューマニズム」のレポート発表会(昨年度の様子はこちら)でした。今年の受賞者は7名で、河野学部長より賞の授与が行われました。
以下は受賞作品の紹介です。
パート1:患者さんのために何ができるか、何を大切にすべきかを問う課題
①服薬アドヒアランスを向上させる方策として、「自己効力感の理論の応用法」を示したレポート
②患者とのコミュニケーションで気をつけるべきポイントをシンプルに、かつ具体的に示したレポート
の2つが選ばれました。教養教育での学びを薬剤師に結びつけていることが伝わるレポートでした。
パート2:コロナウイルスワクチンに関する課題
「実務実習先での実習生のワクチン接種義務」という課題については、③医療提供者側の立場からと④自己選択権の尊重を訴える学生の立場からという対立軸が鮮明な2つのレポートが選ばれました。
「生体移植とコロナウイルスワクチンの接種に関して共通する倫理的問題は何か」というに課題については、⑤自発的な意思が尊重されない可能性やサポートや補償が十分整っていない現状を指摘するレポートが選ばれました。
パート3:文学作品や患者の手記から登場人物や患者の心情を理解する課題
⑥「井原西鶴の短編「身を捨てて油壺」(絶世の美女が夫を次々と無くして後家となり長生きするも,貧しさから神社の灯籠油を盗む生活に。獣と間違われ殺されたが同情もされず、老婆は妖怪になったという、江戸の都市伝説)を読み、老婆の心情を理解することを医療者として病者の立場で考えることに結びつけて考察した、ナラティブアプローチを実践したレポート
⑦さまざまな患者の手記をもとに、薬剤師として患者の様々な苦痛を理解し最良の患者支援の選択に貢献しようとするレポート
の2つが選ばれました。
学生にとっては、今年も医療人を目指して共に学ぶ友達の多様な価値観や考え方を知る貴重な機会となったと思います。審査員をはじめご協力くださった先生方、レポートを紹介してくれた受賞者の皆さん、そしてしっかり学んだ学生の皆さん、本当にありがとうございました。
この日は午後に、本科目の最後を飾る「薬害講演会とSGD」も続き、さながら「医療倫理とヒューマニズムに浸る1日」となりました。