■ 研究活動
本講座では、AD の治療・予防法の開発を目指し、主に脳内レニン• アンギオテンシン系によるAD原因分子であるアミロイドベータ蛋白(A {3) の産生制御について解析を進めています。北東北では、高血圧患者の割合が高く、心疾患や脳卒中のような血管疾患の割合が多いことが知れています。ー方、中年期高血圧は、AD発症の危険因子にもなっていますが、その発症の分子機構は不明です。したがつて、北東北においては、血管疾患とともに、高血圧が引き金となるAD発症の予防・治療対策も重要と考えられます。そこで私達は、血圧を制御しているレニン・アンギオテンシン系によるA/3 産生制御機構を解析した結果、血圧を制御するアンギオテンシン受容体がA/3 産生に関わり (Liu et al.,Sc i. Re.,5: 12059,2015) 、また、ある高血圧薬アンギオテンシン受容体ブロッカー(ARB) がA/3 産生をあげることを見いだしております(Lui et al.. Neurosci Lett. 567:51,2014) 。今後、さらに詳細なメカニズムを解析し、中年期高血圧が引き金となるAD発症の機構とその予防法について明らかにしていこうと考えています。
■ 教育活動
「自ら意欲的に学び成長し続ける人材を育成していくこと」という本講座の教育方針のもと、脳科学、’ 健康科学を背景に行っている自由選択科目について紹介します。
*「自分を変える脳科学」
脳科学の進歩によって、我々の心や行動を引き起こしている分子基盤がより深く理解されるようになり、病因だけでなく、人間がよりよく生きるための研究が進んできています。この講義では、このような背景のもと、能率のよい学習法や意欲を高める方法、挫折からの回復力を養う方法など「生きるスキル」に役立つ脳科学を対話形式のグループワークを通じて理解を深めています。学びとグループワークを通して学生たちは、明るくなり意欲的になっていくのを体験しております。
*「薬離学」
「薬理学」と同読みにし、薬を離れていくという意味で「薬離学」という独自に命名した自由選択科目です。今、日本は超高齢化社会がさらに進んでいて、このままいくと高齢者への医療費が増大し国家予算の半分を超えてい<ことが予想されてます。それを防ぐため、もちろん必要な薬はありますが、健康維持や予防を充実させ薬を減らしてい<ことが強く求められています。本講義では、そのための健康科学を学んでいきます。具体的には、メンタルケア、睡眠の効果、運動の効果、そしてプラセボの脳科学を学び、また、健康に良い食生活習慣や健康に関する疫学調査を整理し、本来身体がもっている免疫力や抗酸化力などをいかに活性化するかという「体の中にクスリをつくる」科学を学びます。今後、薬剤師は、薬を使わないセルフメデイケーション・減薬を指導することも、ますます重要な職務になっていくと考えております。
以上、本講座では、自ら意欲的に学ぶ健康サポ一ター、そして研究マインドをもつ薬剤師教育に専念しております。