Dr OZくすりのよもやま話 (18) 

くすりの効き方の不思議さ・面白さ・・・(5)

令和3年6月6

前回は、別の悩みである中学くらいからずっと経験している筋緊張性と思われる頭痛に悩まされていたことを書きました。ひどいときには吐き気も伴いました。とはいえ、一晩ぐっすり眠ってしまえば翌朝はスッキリ目覚め、完治するので診察を受けるほどではなく、そのまま成人してしまいました。確かに成人するまでは、一晩ぐっすり眠ってしまえば翌朝にはスッキリしていたのです。

 

しかし、最近はそうはいきません。夜中に目覚めてしまうからです。翌朝全くスッキリ感がないのか、といえばそうでもないのですが、未成年の頃のスッキリ感とは比較になりません。しかし、良いことと悪いこととがともに在るのは世の常です。この頭痛で、最近の方がまだマシと思うことは、吐き気を伴う頻度が比べものにならないくらい低いことです。

 

それと、効くことがわかって、20年以上も服用している常用薬のことも書きました。もっと効くものは本当にないのか、という気もしています。もしドラッグストアで購入できる薬(一般用医薬品といいます)で、ということになると、成分を調べて、いま服用しているものと異なるものを選ばなければいけません。思いつくままになのですが、明らかにいま服用している成分と異なるものが主成分になっている一般用医薬品(だったものも含める)は3つほど思い浮かびます。これらのうち1つの薬物Xは、医薬品医療機器総合機構発出の文書に、厚生労働省が「長期連用による腎障害等の危険性に鑑み、一般用医薬品としての販売を認めなくなった」旨記載されています。いまや研究用試薬としての用途に限られています。研究として用いるのは、私自身の研究分野に近いところで、です。ヒトの肝臓には、薬物を代謝(簡単にいえば分解)して、体から排泄されやすい形に変える役割を果たす酵素があります。くすりのおかげで病気が治り、服用する必要がなくなったら、くすりは体の外へ出なければならない、と考えて頂ければわかりやすいかもしれません。そのような働きをするシトクロムP450という一群の酵素があって、ヒト肝臓で医薬品の代謝にかかわるシトクロムP45010種程度にものぼります。薬物Xはそれら10種のうちの1つによって代謝されることがよく知られています。一方、他の9種ではあまり代謝されない、ということは、Xが研究の用途としてよく用いられる理由になっています。

 

だいぶ話がそれてしまいました。私自身の経験として、歯科治療を受けた後に処方して頂いた鎮痛薬は確かに治療後の痛みをよくおさえました。非常にあいまいな言い回しですが、感じる痛みの“質”が異なっていて、効果的に痛みをおさえるか否か、は薬によって異なるのでしょう。

 

前回、少し書きかけていましたが、私自身の筋緊張性頭痛をおさえる鎮痛薬が服用後どれくらいの時間からどのくらいの時間まで効くのか、について、少し考え方の目安になることがありますので、今後、そういったことを少し書いてみたいと思います。

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