2013年度卒業
氏家悠貴 さん(2期卒業生)
情報薬科学分野
氏家悠貴さんは薬学部卒業後、岩手医科大学附属病院薬剤部に就職しました。平成31年からは、薬剤師として勤務しながら岩手医科大学大学院薬学研究科で大学院生として研究も行ってきました。
令和元年度(平成31年4月)からは、岩手医科大学薬学部臨床薬学講座情報薬科学分野で助教として勤務しています。
【プロフィール】
平成26年 岩手医科大学薬学 卒業、薬剤師国家試験合格
岩手医科大学附属病院 薬剤部に就職
平成31年 岩手医科大学大学院薬学研究科博士課程 医療薬学コース 入学
令和元年 岩手医科大学薬学部 臨床薬学講座情報薬科学分野 助教に任用替え
現在の職場を選んだ理由、大学の教員となった理由
岩手医科大学薬学部を卒業して6年間、病院薬剤師として業務に従事していました。病院では薬剤部の外来化学療法センターに所属し、抗がん剤の調製や外来指導、カンファレンス※1などに力を入れてきました。また、小児病棟や外科病棟、呼吸器病棟などで病棟薬剤師としてがん化学療法を支援してきました。しかし、臨床現場での薬物療法の限界を感じる機会が多く、患者さんのために「薬剤師としてできる事はなにか?」と考えて見つかった答えが「研究」でした。それで社会人大学院生として薬学研究科へ入学しましたが、ご縁があって薬学部情報薬科学分野の助教に任用替えとなり、現在は「研究」と「教育」、「臨床」の三足のわらじで日々奮闘しています。
仕事や研究でのやりがい
現在も岩手医科大学附属病院薬剤部に兼務しており、がん薬物療法専門薬剤師として、化学療法センター及び外科病棟の薬剤師も担当しています。そのため、臨床業務で得たフレッシュな知識や経験といった「臨床の面白さ」を学生へ伝える事ができると思っています。薬学生に向けては教科書の内容と臨床での実体験の融合をテーマに講義するよう努めており、「面白かった」など学生からの声が聴けた時には特にやりがいを感じています。
情報薬科学分野では臨床で培った経験を非臨床領域での研究に繋げる「リバーストランスレーショナルリサーチ※2」を意識して研究活動を行っています。現在はヒトを対象とした臨床研究を継続しながら、トランスジェニックゼブラフィッシュ※3を用いた基礎的な研究も行っています。研究で喜びを感じる場面は、小さな仮説に対してPositiveな結果が得られた時です。その喜びの積み重ねが大きな仮説の証明に繋がると思うので、毎日の実験結果を楽しみながら実験を行っています。
後輩へのメッセージ
在校生にとっては大学の6年間は長く感じられることも多いかもしれませんが、入学から卒業までの6年間はあっという間に終わってしまいます。短い大学生活のうちに、社会貢献活動や部活動などを通して人間性やコミュニケーション能力を養うこと、たくさんの苦労を経験して問題を解決する能力を訓練しておくことは、社会に出てから活躍するために重要な要素の一つだと思います。
また、薬剤師が活躍できる場は、保険薬局や病院、ドラッグストア、製薬企業や医薬品卸企業、大学の教員など多岐にわたります。薬剤師の免許と知識をもって他の領域へチャレンジする事もできます。達成出来るかどうか悩む事もあると思いますが、どうすればクリアできるか、広い視野に立って考えると解決できることがあるかもしれません。長期と短期の両方の目標をもって、その目標の達成に向けて一緒に頑張りましょう。
※1 医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、医療相談員(ソーシャルワーカー)などの多職種の医療関係者が集合し、患者さんの治療の方向性や問題点について話し合う場のこと
※2 臨床現場における疑問点や問題点を基礎研究の領域につなげる橋渡し研究のこと
※3 外部から特定の遺伝子を人為的に導入した動物