くすりがいきなり効きすぎた! その2
グレープフルーツとくすりの話からシリーズ1回目の口火を切りました。
私は薬学部の教員なのに何というしくじり!と恥ずかしい限りです。
そうはいうものの、二度と繰り返さないためには、原因が本当にグレープフルーツを食べたことなのかどうか、を突き詰めることが役立つでしょう。とはいえ・・・
突然翌朝の血圧が低かった日と全く同じように、ある日の午後、グレープフルーツを食べ、同じ日の夕食後にくすりをのむことで、本当に翌朝の血圧が低いことが再現するとグレープフルーツが原因の可能性が高くなってくると思われます。当たり前ですが危険極まりないことですから実行しておりません。
あの日のことは、十年も経過してしまったいまでは出来事の隅々まではよく思い出せないのですが、曜日は土曜日でした。平日、執務をしている午後にグレープフルーツを食べる可能性はほぼありません。ある土曜日の午後3時ころでした、無性にグレープフルーツが食べたくなって、食べたら満足して食べたことを忘れてしまった、のです。私自身の名誉のために、記憶に障害があったわけではなく、書き物仕事に集中していたのです。夕方にはくすりをのみ、翌朝血圧を計ったら上(収縮期血圧)が96、下(拡張期血圧)が69だった、というのがこの顛末です。
ここにはとても大事なことが隠されていると思います。グレープフルーツが原因だとして「くすりの効果を強める」働きが、結構な時間が経っても保たれていた、ということです。グレープフルーツを食べたのが15時、食事をして食後にくすりをのんだのが20時。グレープフルーツの働きは5時間も保たれていたことになります。こちらの謎解きはかなり大事かも。
もちろん別の仮説の余地もあります。5時間も経っているのにグレープフルーツの影響が残るのは想像しがたいではないか!食事のときの食材に原因が隠れているのではないのか、です。一応グレープフルーツの可能性に思いを致したことができたのは、薬学部の一教員の知識として、「グレープフルーツ(ジュース)はくすりの体の中での動きに影響を及ぼすことがある」ことが頭の中にあったからですが、普段行っていなかったことを思い出す作業の中で、グレープフルーツは際立っていました。
では、まず、グレープフルーツの影響の持続時間について調べていきましょう。それはまた次回に。
Dr OZくすりのよもやま話(3)へ
Dr OZくすりのよもやま話(1)へ