ISS「きぼう」日本実験棟でのタンパク質結晶化実験を開始しました。

岩手医科大学薬学部の研究グループは、2024年11月7日、「きぼう」日本実験棟内で高品質タンパク質結晶生成実験(Protein Crystal Growth: PCG)を開始しました。

タンパク質の立体構造を知る構造生物学は、生命の仕組みの解明や、創薬研究にとって、とても重要です。

近年のノーベル賞の多くは構造生物研究に関連しています。

タンパク質の立体構造解析には、主にX線結晶構造解析という手法が使われます。

そして、高精度な立体構造を決定する上で高品質な結晶を得ることが重要なのです。

国際宇宙ステーションのようなあまり対流が起きない微小重力環境は、

高品質な結晶を得るのに適していることから、結晶化実験(JAXA-PCG)が行われています。

本実験では、薬学部の学生が卒業研究の一環として実験サンプルの試薬調製を担当しました。

実験サンプルは、2024年11月5日 11時29分(日本時間)に米国SpaceX社のドラゴン補給船(SpX-31)で国際宇宙ステーション(ISS)に向けて打ち上げられました。

11月7日には、宇宙飛行士により実験サンプルが「きぼう」船内実験室に設置され、実験が開始されました。

実験室内の微小重力下で生成したタンパク質結晶は12月上旬に回収予定です。

本研究プロジェクトは、新たな抗菌薬開発を目指す創薬研究の一環として行われています。

本プロジェクトの主な共同研究機関は下記の通りです。

長岡技術科学大学、新潟大学、神戸大学、北里大学、昭和大学、大阪大学、神戸学院大学、富山大学、産業技術総合研究所、宇宙航空研究開発機構、高エネルギー加速器研究機構

 

11月5日のドラゴン補給船には、本学と高大連携協定を結んでいる花巻北高校の人工衛星「YODAKA」も搭載されました。

「YODAKAは12月中にISS日本実験棟(JEM)「きぼうから宇宙空間に放出され、内部の構造やコンポーネントがモジュール化・規格化された6U衛星汎用バスシステムの軌道上実証実験として、地球を周回するYODAKAに地上から短歌の上の句と下の句を別々に送信して偶然に出会った組み合わせの短歌(連歌)を作成する予定です。短歌のテーマを「夜空」として、上の句を募集しています。応募の締め切り12月25日。 夜空を見ながら、ぜひ応募してみてください。

岩手医科大学薬学部薬科学講座構造生物薬学分野

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